鉄よりつよいもの。(旧)

KKTのブログ『鉄よりつよいもの。』のはてなダイアリー時代(2004年から2017年まで)のアーカイヴです。新規更新はしません。現在は新しいブログ http://kkt.hatenablog.jp/ をたまに更新

絡める指、重ねる息。

先日、安倍さんの『息を重ねましょう』がエロティックだ、と書いたところ、「その視点は意外だった」というような反応もいただいたので、どこにエロティックさを感じたかという解説めいたことを書いてみようと思います。
歌い出しから“指を絡めながらの男女の会話”を感じさせてそれだけでもエロティックではあるんですが、その感じをさらに強くするのが「時々あなたは眩しそうな目をして微笑むでしょ」という2コーラス目の冒頭です。
私自身そうなのですが、近視で普段メガネをかけている人間がメガネを外すと、焦点をあわせようと目を細めます。それは“眩しそう”に目を細めるときの様子と、似ていなくもありません。このフレーズは、目の悪い男性が眼鏡を外しているときの描写なのでは、と思うのです。そして、目の悪い人がメガネを外すシチュエーションって限られていますよね。たとえば、ベッドに入るときとか。
そういう「あなた」の姿を知っている「私」。そんな関係のふたりの間で交わされる言葉だと考えると、サビの「息を重ねましょう」というフレーズも、言葉以上の意味を感じさせます。


息を重ねましょう』の作詞の久保田洋司氏は、過去に上戸彩の『Breath of My Heart』という曲の歌詞を書いています。歌詞を読めば明らかなように、ロストバージンの歌です。“息=Breath”は、久保田氏が書く詞において、エロティックなシチュエーションのひとつの象徴として使われているのかもしれません。