鉄よりつよいもの。(旧)

KKTのブログ『鉄よりつよいもの。』のはてなダイアリー時代(2004年から2017年まで)のアーカイヴです。新規更新はしません。現在は新しいブログ http://kkt.hatenablog.jp/ をたまに更新

MY DEAR BASS

7月25日にリットーミュージックから『MY DEAR BASS』という書籍が刊行されました。同社発行のベース専門誌『ベース・マガジン』創刊当初より続く同題の連載企画をまとめたものです。

MY DEAR BASS ベーシストが愛してやまぬ“この1本

MY DEAR BASS ベーシストが愛してやまぬ“この1本" (BASS MAGAZINE)

内容は、プロベーシストの所有楽器を本人のコメント込みで紹介するもので、ページをめくってもめくってもひたすらベース。ベースギターという楽器に興味がない方にはわけのわからない本かとは思いますが、私にとってはたまらない1冊です。
私にとってこの本が面白いのは、さまざまなベーシストの「楽器観」を知ることができることです。すごく細かなところにまでこだわる方もいればそうでない方もいますし、中には正反対の楽器観をお持ちの方もいらっしゃって、連載が1冊にまとまったことでその多様さがより見えやすくなっていると思います。


リットーミュージックの運営するサイト「デジマート」では、この書籍から岡沢章さんと故・佐久間正英さんの楽器を紹介したページが無料公開されています。佐久間さんの記事では、佐久間さんが楽器製作も手がけるようになったきっかけが語られており、重要なものかと思います。
書籍『MY DEAR BASS』では、何人かのベーシストが佐久間さん製作の楽器を愛器として紹介しており、佐久間さんの楽器に対する考え方が、楽器を通じて継承されていることを感じられるのもこの書籍の魅力だと思います。


つい先日配信されたアップフロント系列のYouTube番組『アプカミ』第26回の、こぶしファクトリー『オラはにんきもの』ベースレコーディングの模様では、スティング宮本さんが佐久間さん製作のベースを使用されています。



しばらく前に配信された第21回のアンジュルム『七転び八起き』ギターレコーディングでは、朝井泰生さんが佐久間さん製作のギターを使用されています(レコーディング終盤、イントロで使用)。



佐久間さんの『MY DEAR BASS』記事を読んでから上記映像を見るのも興味深いかもしれません。

7.23

LoVendoЯ魚住有希さんのバンド卒業、私は発表されたライブは観にいっておらず、当日の各種メディアの報道で知りました。
私は今回の春ツアー『POWEЯ!』は6月の西川口公演を観ており、バンドが現在の活動に充実感を得ていることを感じていたので、このタイミングで魚住さんがバンドを離れるのは意外ではありましたが、同時にすごく納得できるところもあります。
魚住さんは、LoVendoЯでの活動にとどまらず、サポートギタリストとしての活動や楽曲提供、ハロプロ周辺でのさまざまな活動と、ギタリスト、ミュージシャンとして充実した活動をしていると思います。大きな会場で演奏したり、有名メーカーからの楽器のサポートを得られたりとかは、同世代のギタリストの中でもなかなか得られない環境だと思います。
そういう環境に身をおく中で、LoVendoЯという肩書きを外したときに自分が純粋にギタリスト、ミュージシャンとしてどう評価されるかを試してみたくなるということは、あると思うんですよね。それは音楽への真摯な向き合い方のひとつの表れ方だと思うのです。



そして、魚住さん卒業後のLoVendoЯ3人で活動していくことが発表されています。
これまでのLoVendoЯの楽曲は多くがツインギターを前提に作られているものですから、簡単にこれまでとおなじようには演奏できないと思いますし、バンド内で一番のソングライターがバンドを離れるというのも大きなことで、LoVendoЯの音楽もここで大きな変化が起こるのかもしれません。


本格的な活動開始から3年目を越えたところでのLoVendoЯの大きな節目。私はそれを前向きなかたちで捉えていきたいと思っています。

『続・11人いる!』

6月に上演された娘。さん出演のミュージカル『続・11人いる!〜東の地平・西の永遠〜』、私は22日上演の回を観劇しました。
ひじょうにすぐれたエンターテイメント作品、というのが率直な感想です。宇宙を舞台にした複数の星にまたがるスケールの大きな物語を、友情、恋愛、葛藤、さまざまな要素を盛り込み、あくまで登場人物ひとりひとりの感情を大切に描いていく。その登場人物の感情には、その役を演じる娘。のメンバーたち自身もほのかに透けて見えるような感覚もありました。
ハロプロメンバーが演じる演劇として、ひとつの完成形というか、究極のかたちに至ったような印象を受けました。


さて、今回のミュージカルは配役が異なる『EAST』『WEST』の2パターンがあり、私が観劇したのは『EAST』公演。『EAST』を選んだのは、舞台出演は『ステーシーズ』以来となる生田衣梨奈さんの見せ場が『EAST』のほうが多いよという話を耳にしてのことでした。
実際に『EAST』公演での生田さんは華麗な殺陣を見せてくれて素晴らしかったです。
ただ、今回『EAST』で生田さんが演じたレッドという役はもう登場しただけで物語の状況を大きく変化させるというヒーロー的な役割でもあるので、あまり内面を感じさせるようなお芝居がなかったのは残念でもあります。やはり生田さんはお芝居の資質が強いのではないかと思うので、もっと多様な感情がうかがえる役を見たかったな、という贅沢な感想も持っています。


前述のように、2パターンの配役があった『続・11人いる!』。私が観た『EAST』公演ではどの役も「この配役以外はあり得ないのではないか」と思うような配役に感じ、だからこそもう一方の公演が見られなかったのが心残り。
今後、映像などのかたちで観られることを楽しみにしています。

ふたりの「カノン」

5月31日、日本武道館でおこなわれた『モーニング娘。'16コンサートツアー春〜EMOTION IN MOTION〜鈴木香音卒業スペシャル』をもって、9期メンバーの鈴木香音さんがモーニング娘。を卒業されました。
今回、私は映画館でのライブビューイングでコンサートの模様を鑑賞しました。
鈴木さんのイメージに合った「笑顔」を大切にした卒業公演だったと思います。


鈴木さんがあいさつを終えてソロで歌ったのが『Never Forget』だったのは少々意外な感じもしましたが、「きっとまた逢えるよね きっと笑い合えるね」という一節は、多くの方々への贈り物となる、あの場面で歌われるべきフレーズだったと思います。



まだ鈴木さんたち9期メンバーが娘。に加入する前の2010年、『大魔神カノン』というドラマが放送されていました。「カノン」という名のヒロインが登場する青春ファンタジードラマです。
この作品の高寺成紀プロデューサー(※番組放映時は「高寺重徳」名義)は、以前、この作品についてこんなツイートをされていました。

モーニング娘。の曲の歌詞のイメージが流れていたという『大魔神カノン』。その放映が終了してから、ヒロインと同じ読みの名を持つ鈴木香音さんがモーニング娘。に加入し、そしてドラマ『大魔神カノン』に影響を与えていたという『Never Forget』を歌い卒業していった。なにか、不思議な縁を感じています。





大魔神カノン』は、人の悪意に触れる中で、大好きな歌や他人を信じることを諦めてしまったヒロイン・巫崎カノンが、もう一度歌に、他人を信じることに向かい合う物語でした。
その主題歌『Sing your heart out』もドラマのストーリーに合わせ、心ない言葉や嘘、裏切りに傷ついた人に向け「心のままに想いを歌って」と呼びかける歌詞になっています。

Sing your heart out
Don't worry,Just shout
あなたらしい歌
優しさを隠さないで聞かせてよ

正直に書いてしまうと、この曲の歌詞が一時期の鈴木香音さんに重なるように感じていたことがありました。
そして5月31日、卒業公演のステージで歌う鈴木さんの姿にも、やはりこの曲の歌詞のイメージが重なりました。ただ、以前とは違う意味で。

Sing your heart out
When you feel the love
あなたらしい歌
思うまま声の限り響かせて

ステージ上の鈴木さんは、まさに「鈴木さんらしい歌」を、思うままに歌っているように私には見えました。
ドラマのヒロイン・カノンが物語の中で大切なものを見出したのと同じように、鈴木香音さんもいま大切なものを手にしているのだと。
そう信じられるので、私は心を込めた「おめでとう」を送りたいのです。



※引用部は モーニング娘。Never Forget』作詞・作曲:つんく♂、森山良子『Sing your heart out』作詞:藤林聖子/作曲:佐橋俊彦 より

ラベビタEX

ものすごーくいまさらですけど、3月から4月にかけて田中さんを除くLoVendoЯメンバー3人とBitter & Sweetによっておこなわれたツアー『ラベビタEX』について書いておこうと思います。


私は、3月6日F.A.D YOKOHAMAでの昼公演という、まさにツアー一番最初の公演を観てきました。
端的に書くと、すっごい楽しいライブでした! 今回のツアーはLoVendoЯの岡田さんとBitter & Sweetの田﨑さん、長谷川さんという3人のボーカリストがいるわけですが、その3人が曲によってさまざまな組み合わせを見せてくれます。もちろん3人揃って歌うこともあるし、曲によっては岡田+田﨑、岡田+長谷川という普段は見られないデュオになったり、LoVendoЯの曲をBitter & Sweetのふたりが歌ったり、Bitter & Sweetの曲をLoVendoЯで歌ったり。普段と違うボーカルになることで新鮮に感じる曲も多かったです。
特に私が観たのは最初の公演で予備知識もまったくないため、なにが出てくるかわからないワクワク感がライブを通してありました。
文句なしに、ここ1年くらいで観た音楽ライブの中で指折りに楽しいものでした。
その楽しさの一端は、YouTubeの配信番組『アプカミ』でのライブ映像でも伝わると思います(第8回、11回、13回、14回で『ラベビタEX』のライブ映像を配信)。



と同時に、これは観客をある程度限定しているからできる楽しさだなとも思いました。
観ている途中で「これって、バンドのファンクラブイベントっぽさがあるな」って思ったんですね。たとえば普段の公演で演奏しないカバー曲をやったりとかメンバーがパートチェンジをしたりとか、熱心なファンの方が集まるファンクラブ向けのイベントではそういうお遊びっぽい要素を入れるバンドを見たことあって、それを思い出したのです。
『ラベビタEX』はチケットを一般発売した通常の公演ではありますけど、やはりLoVendoЯの田中さんが欠席ということで、動員に変化はあったと思うんですね。正直、普段のLoVendoЯの公演と入場者数に差はあるのははっきり感じました。
そういう中で、より熱心で、メンバーひとりひとりについてよく知っているファンが来ることを想定して『ラベビタEX』は構成されていたと思います。
よく知っている人向けだから、普段のライブ以上にメンバーの「キャラ」を出してみたり、メンバー全員がギターを弾いて歌うというまだご愛嬌の部分を入れる余地もあったり。
普段のLoVendoЯのライブって、LoVendoЯをまったく知らない人が初めて観ても、もちろん好みはあると思いますけど楽しめるライブだと思います。『ラベビタEX』が、なにも知らない人が観て楽しいライブかというと、そうではなかったと思う。『ラベビタEX』は内側に向くことで楽しさを生んでいたライブで、なので普段のLoVendoЯのライブと比べてどうか、というものではないというのが私の考えです。


そんな中『ラベビタEX』で一番印象に残ったのは、LoVendoЯの3人で演奏したBitter & Sweetのカバーの『月蝕』でした。基本的に『ラベビタEX』は音源に合わせて生のギターが入るというスタイルでアレンジは原曲と大きく違ってはいないのですが、それでもLoVendoЯの『月蝕』は原曲とは違った世界を見せてくれた気がしました。岡田さんのボーカリストとしての力量を改めて感じさせられましたし、ギター隊の入れるコーラスもきれいにハマっていて、これはLoVendoЯとしての活動にフィードバックされるものではないかなと思っています。

というわけで、5月から始まるLoVendoЯの次のツアーも楽しみです!!

磁石のバランス

カントリー・ガールズ3枚目のシングルの1曲『恋はマグネット』は、オールディーズ的なイメージの楽曲が続いていたカントリー・ガールズには異色な1曲といえるかもしれません。



打ち込みをベースにしたサウンドは、キラキラしたシンセの音色や全体のリバーヴ感、ちょっとジャジィなギターのフレーズなど、1980年代っぽさがあり、オールディーズ風のほかの曲とはまた別の「懐かしさ」も感じます。
もちろん、ただ懐かしいサウンドを再現しているのではなく、間奏の部分では今風のダンスミュージック的なアプローチがされており、シンセベースは音色や役割も変化しています。この間奏はミュージックビデオでは稲場愛香さんのダンスがフィーチャされており、ヴィジュアルとサウンド両面でアクセントとなっている部分だと思います。


そのサウンドに乗る歌詞も素敵です。
サビで重ねられる「ユラリ」「フワリ」「キラリ」という似た響きの言葉は耳に残ります。
そして「君の腕 揺れて溶けたい」「くちびるに そっと触れたい」と、自身の「してみたい」行動を歌う部分は「ユラリ」「フワリ」と浮遊感がありどこか不安定さを帯びた言葉が使われているのに対して「この本音 早く触れて」と「してほしい」願望を歌う部分では「キラリ」と、ニュアンスの異なる言葉が使われているのが、言葉の背後にある感情を広げていくようです。

2番の歌詞

急な坂道 後ろ歩きでふざけあい
ミニチュアの街 見下ろしたっけ

は「急な坂道」と「ミニチュアの街」というフレーズで「街の中心部から離れた高台」というロケーションを具体的な情景描写なしでイメージさせるのが見事です。
また「ミニチュア」(=作り物)という言葉が使われることで、街に象徴される自分を取り巻く世界に違和感を感じる思春期の心理も漂わせているように思えます。


なによりそれを歌うカントリー・ガールズの歌声が魅力的です。
この曲のメインといえる年長メンバー3人の声の表情はもちろん、Aメロを歌う年少メンバー4人の声に残る幼さも、大人と子どもの間で揺れている曲の世界をより引き立てているようです。
私にとっては嗣永桃子さんのヴィブラートのうまさを改めて感じさせられた1曲でもあります。


サウンド面での現代的なアプローチと懐かしさのバランス、歌詞で歌われる揺らめく心理のバランス、年長メンバーと年少メンバーの歌声のバランス、いくつものバランスが絶妙さを見せている1曲だと思います。


※引用部はすべて カントリー・ガールズ『恋はマグネット』作詞:井筒日美/作曲:Yasushi Watanabe 発売:アップフロントワークス より

再開や勢揃いや

昨年の3月を持って芸能活動を休止された小川麻琴さん、2月の頭に思わぬ報せがありまして、4月に舞台に出演することが本人のサイトで告知されています。
芸能活動を休止された方が1年間の休止期間を経て活動を再開させるという例はいくつもあるので小川さんの活動再開も期待していたのですが、予想以上の早い発表となりました。
そして、7月より始まる劇団東少のファミリーミュージカル『眠れる森の美女』への出演も発表となり、これはもしかすると解禁前の活動情報がまだまだあるのかもしれませんね。


個人的には、劇団東少のファミリーミュージカルへの出演に特に感ずるところがありました。
小川さんは一昨年の同劇団のファミリーミュージカル『シンデレラ』に主演されていて、それ以来の再出演となるわけですが、前の出演は事務所に所属していたころのお仕事。それが、事務所を離れられた今年になって再出演ということは、劇団の方々やミュージカルに携わる方々が、小川麻琴さん個人とまたお仕事をしたいと思ってくださったということですよね。
それが、ひじょうに嬉しいというか、ひとつのお仕事が単に「お仕事」で終わらずご縁が続いているというのを感じて、小川さんはいい出会いに恵まれているのかなと思うところです。



そして、2月上旬には小川さんがInstagramをスタートさせて、以前からやっている高橋愛さん紺野あさ美さん新垣里沙さんと合わせて5期4人がInstagramに勢揃いしたという。
人物の写真の多いふたりと食べ物の写真が多いふたりに綺麗にわかれているというのが予想通り過ぎて、やっぱり5期は5期だなあという感じですね(笑)。