鉄よりつよいもの。(旧)

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生田さんが見せた“ニアデスハピネス”

娘。さん出演のミュージカル『ステーシーズ』について、また少し。
今回のミュージカルでは、実質的な主役級といえる田中さん、鞘師さん、工藤さんの3人がつよく印象に残るのは当然として、ほかのメンバーの中で私が印象深く感じたのは生田さんでした。
劇中で「ニアデスハピネス」と呼ばれる“死を前にした少女の多幸感”を、もっとも的確に表現しているように感じました。その多幸感は翳りや辛さ、悲壮感を一切感じさせないゆえに、見ている者によけいに重い辛さを背負わせる。原作小説が持っている哀しさの本質が、生田さんの演技によって舞台上で表現されているように思えました。
その生田さんのお芝居は、もしかしたら「意図して演じた」のではなく「演じたらああなった」ものなのかもしれません。個人的にはその可能性のほうが大きいかなとも思っています(笑)。ただ、そうだとしても生田さんがニアデスハピネスを具現化しえたことに変わりはありません。
これから先、生田さんがモーニング娘。としての活動を通じて、お芝居やさまざまな表現の経験をいまより積んだとき、14歳の時点で演じたのと同じようにニアデスハピネスが演じられるかはわかりません。
今回の『ステーシーズ』という舞台は“いまこの時期”に演じられるからこそ成立した部分もおそらくたくさんあって、それは少女の抱える刹那な時間が重要なテーマとなっている『ステーシーズ』という作品の内容そのものと符合を見せていたように思えるのです。