2010年のシティ・ポップス
松浦さんのニューアルバム、聴きながら“シティ・ポップス”という言葉を連想しました。いまはあまり使われなくなった表現ですが、決して悪い意味ではなく、時代に左右されない、和製ポップスの系譜を継ぐポップ・ミュージックのアルバムに仕上がっているという印象です。
新曲にセルフ・カヴァー、さらにほかのアーティストの方のカヴァー曲も収録されていますが、どの曲も「松浦さんの歌」として共通するトーンを得ていると感じました。
また、ライブに参加しているミュージシャンがレコーディングに参加したり、曲を提供したりと、いいかたちでのひとつの活動を次のステップに繋げてることができているなあと感じています。
Youtubeで先行してビデオクリップが公開されていた『only one』は詞・曲ともベーシストの梶やんこと梶野秀樹さんの手によるもの。失礼ながらクレジットを見たときはちょっと意外な気もしてしまいました(笑)。
さて、その梶野さんのプロフィールを拝見すると、バンド“てつ100%”にベーシストとして加入したのがプロとしてのキャリアのスタートだとのこと。てつ100%は、1980年代に多くのアーティストを輩出したCBS・ソニーオーディションの出身です。てつ100%が合格したのは1986年の同オーディションで、同年の合格者には、ほかに現在も現役で活動を続けるユニコーンやエレファントカシマシ、そして合格者の中で唯一のソロアーティストだった高橋諭一さんがいます。
その後、高橋諭一さんはアーティスト活動を経て、作・編曲家としての活動を主にするようになり、ハロプロ系の楽曲も多く手がけている…というのは多くの方がご存知だと思います。
今回の松浦さんのアルバムにも、高橋さんはアレンジャー・プレイヤーとして参加しており、『only one』をはじめ、数曲で梶野秀樹さんと共演しています。
梶野さんはデビュー後に脱退したベーシストの後任としててつ100%に加入しているため、梶野さん自身が1986年のCBS・ソニーオーディション出身というわけではありませんが、同じオーディションがデビューのきっかけとなっているミュージシャンふたりが、そのオーディションの開催された年に生まれた松浦さんのアルバムで共演しているというのは、なんとも不思議な縁があるように感じています。
今回のアルバムでは『横浜ロンド』を作詞している久保田洋司さんも、年度は違いますが、CBS・ソニーオーディションの出身だったはずです。
- アーティスト: 松浦亜弥
- 出版社/メーカー: UP-FRONT WORKS
- 発売日: 2010/11/24
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