鉄よりつよいもの。(旧)

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神の意思

ミュージカル『リボンの騎士』について思うこと。ミュージカル、および原作の内容に触れるので改行の上「続きを読む」に。
















原作『リボンの騎士』において、サファイアに男の魂を与えたチンクは、その罰として地上に降ろされ、「サファイアの男の魂を取り去る」ことを神より命じられています。
ミュージカル『リボンの騎士』においても、娘。たちが演じる生まれる前の命たちは、やはり魂を勝手に飲ませたために地上に降ろされています(連帯責任はハロプロの伝統(笑))。しかし、娘。たちは「男の魂を取り去る」という命を与えられてはいませんでした。
原作においては、神は「罰と使命」をチンクに与えています。では、ミュージカルにおいて神が娘。たちに与えたのはなんであったか。それは「使命」ではなく「罰」でもなく、「試練」であったのではないかと私は思います。魂を弄んだ娘。たちに魂の尊さを知らせるために与えた試練が“リボンの騎士”の物語であったのではないか。*1
さらに考えれば、ふたつの魂を持ったサファイアを巡る一連の物語は、神が娘。たちに見せたひとときの幻想だったのかもしれません。ミュージカルでは原作で描かれていたサファイアとフランツの婚礼は描かれていません。それは、娘。たちが魂の尊さを知った時点で、神の与えた試練である“リボンの騎士の物語”が終わりを告げたからではないでしょうか。
そして魂の尊さを学び“リボンの騎士の物語”というひとときの夢から醒めた生まれる前の命たちは、本来あるべき姿に生まれ変わり、我々の前に現われるのです。――そう、モーニング娘。という姿で。

*1:神(あるいは超越的な存在)が与える“試練としての転生”は『火の鳥』『アポロの歌』など、手塚作品のいくつかに共通して見られるモチーフです。ミュージカルで娘。たちが演じる転生を繰り返す存在は『火の鳥』を思い出させるものであり、ミュージカル『リボンの騎士』における「神」にはどこか『火の鳥』の「鳥」のイメージが重なります。