武道館雑感・２

教室の意味

今回のツアーは、娘。にとって特別な意味を持つツアーだと思います。春ツアーも途中からは現在の体制に近い、４期以降のメンバーだけからなる娘。でのツアーでしたが、今回はスタート時から４期以降だけのメンバーによる“新生モーニング娘。”初のツアーです。


（以下、セットリストに触れるため畳みます）




そのツアーで『バイセコー大成功！』『ラストキッス』が歌われたことに、私は大きな意義を感じました。曖昧な形で活動休止して久しいふたつの派生ユニットの曲を、当時とはまったく違ったメンバーがパフォーマンスしてみせる。それは、今までの娘。の歴史をすべて肯定した上で、現在の娘。たちがその歴史を継承していくという宣言のように思えました。
この２曲は寸劇に続いて歌われています。その寸劇の舞台となるのは、ツアーのタイトルにも謳われている「教室」。誰かが去り、誰かが加わって、いつか全員が入れ替わっていても、その教室に刻まれた歴史は揺るがない。そして、新たに教室に加わった者によって、その歴史は受け継がれ、新たな歴史が作られていく。モーニング娘。とは、そんな「教室」なのだ。ツアータイトルには、そういう意味が込められていたのではないでしょうか。
だから私は、現在の10人の娘。たちが刻んでいく新たな歴史を、これからも見つめ続けていたいと思います。寸劇の前に歌われた、やはり初期の曲である『恋の始発列車』で客席に向けられたマイク。それは、客席で彼女たちを観ている私たちも、同じ「教室」の中にいるのだというメッセージに違いないから。