鉄よりつよいもの。(旧)

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舞台劇『軋み』

小川麻琴さんが出演した舞台劇『軋み』、私は2月12日の公演を観劇しました。
すでに小川さん自身のブログにも2月16日付け18日付けで触れられているとおり、なんと今回の舞台、小川さんは死体役でした。
舞台の紹介文の

ソファには、ひとつの死体。


最初は、寝ているのかと思ったが、
呆然と立ち尽くす妻と編集者に、それが死体であることはすぐにわかった。

の「ひとつの死体」です。
この舞台、すでにソファに死体が横たわっていて、その傍らで別の登場人物たちが会話を交わすところから始まるんですね。私は小川さんがどの役を演じるかという情報をまったく知らないまま観にいっていたので、劇が始まって少ししたところでほかの登場人物が死体の顔を覆っていたタオルを外すところで「ええええええええええこの役??????」と思わず心の中で叫びそうになるほど驚きました(笑)。
もちろん、ずっと死体なわけではなく、舞台が進行するにつれ劇中の時間が前に戻ったり進んだりするので、生前のお姿もちゃんと見ることができます。


この舞台で印象に残ったのは、ひとりの登場人物の主観、つまり「その人にはこう見えてる」という世界が舞台上で演じられるシーンがあることでした。そのシーンはコミカルで笑える場面でもあるのですが、それが誰かの主観なのか客観なのかが観客にはわからないゆえに、笑いながら不安にもなってくるという、不思議な感覚を覚える場面でした。(ちなみにこのシーンには小川さん出演せず)
それからもうひとつ、この劇は多くの登場人物が『誰かのためを考えている」つもりで「自分の都合」で動いているということ。「自分のため」と「誰かのため」の間で起こる「軋み」と、その果てに選び取られるもののお話だったのかなと感じています。
そのラストに至るまでの、ある登場人物の心の変化を見せる上で、小川さんが舞台上で見せる表情が、重要な役割を持っていたのではないかな、と個人的には思っています。
私がいままで観た小川さん出演の舞台劇は、主演だったりヒロイン役のものが多く、ここまで脇役に徹している舞台を観たのは初めてだったかもしれません。ほかの俳優さんたちとともに“いち出演者”として舞台を作り上げている小川さんの姿が、頼もしく感じられるところもありました。


それからもうひとつ。
この舞台劇の主演をつとめていらしたのは建みさとさん。1998年に放送されたモーニング娘。出演のドラマ『太陽娘と海』や、その後番組の『風の娘たち』にメインの役どころで出演されていました。考えてみれば、たまたま深夜にそのドラマを目にしたことが、その後私が娘。に興味を持っていくひとつのきっかけになっていたわけで、そのドラマに一緒に出演したメンバーではありませんが、娘。OGである小川さんとの共演を見るというのは、いろいろ「つながっている」ことを感じる機会ともなりました。