鉄よりつよいもの。(旧)

KKTのブログ『鉄よりつよいもの。』のはてなダイアリー時代(2004年から2017年まで)のアーカイヴです。新規更新はしません。現在は新しいブログ http://kkt.hatenablog.jp/ をたまに更新

新しい気持ち

9月6日、新宿BLAZEで開催された新垣里沙さんのライブ『ポップコーンとうずら』昼公演を観てきました。
まだ名古屋、大阪公演を残しているので具体的な曲名は挙げませんが、今回のライブの多くを占めていたのはモーニング娘。の曲。シングル曲からカップリング曲、アルバム曲までと幅広く、リリースされた時期もさまざまですが、どの曲も新垣さんがサブリーダー、リーダーとしてグループを牽引していたころのモーニング娘。コンサートの記憶を刺激する曲です。
今回の新垣さんのライブは、そのころの娘。のコンサートから選りすぐられたライブベスト的な選曲になっていたと思いますし、娘。のコンサートで新垣さんが担っていたものを改めて確かめさせてくれるようなライブになっていたと思います。


演奏はすべてドラム、ベース、ギター、キーボードの4人編成のバンドによる生演奏。もちろん4人編成のバンドですからレコーディングされた音源に比べてシンプルな演奏になっているはずなのですが、物足りなさや違和感は一切感じさせない演奏で、アレンジの変わった曲ももともとのイメージを活かした上での生演奏用の再解釈と感じるものでした。
また、娘。の曲ですから新垣さんひとりでは歌いきれない部分もあるのですが、そこをバンドメンバーに任せたり音源を流したりするのではなく、ライブの打ち合わせで
「この曲のここ、どうするの?」
「いやー、みんなが歌ってるくれるから大丈夫でしょー、アハハッ」
というやりとりでもあったのではないかと思うような客席への委ね方。
新垣さんの歌とバンド演奏だけでは完成しない曲が観客が声を合わせることで完成する。今回のライブは、ただ完成品をステージに乗せるのではなくて、ステージ上の演者と観客が一緒になって「作りあげていく」ライブであり、その過程を演者と観客がともに楽しむライブであったと思います。それができるのは、きっと新垣さんがモーニング娘。時代からずっと培ってきたものがあるから。モーニング娘。として新垣さんが積み重ねてきたステージの上に今回のライブはあったと思います。


そして大事なのは、過去の娘。のコンサートを思い出したり、ずっと重ねてきたものを感じるライブであっても、今回の新垣さんのライブで感じる気持ちは「懐かしい」とは別のものだということ。
昔、感じたことのある気持ちによく似ているかもしれないけれど、古い気持ちが呼び覚まされているのではなくて、新しい気持ちが生まれている。ステージの上の新垣さんが、かつての娘。コンサートの再現ではなくて、いまの新垣さんを見せて、聴かせてくれているのと同じように。



ライブの最後、ステージを降りる新垣さんは客席に向かって娘。時代からおなじみの
「楽しかった人ーっ!」
「楽しかった」という言葉だけでは届かないくらい、楽しい時間を味わわせてくれるライブでした。