鉄よりつよいもの。(旧)

KKTのブログ『鉄よりつよいもの。』のはてなダイアリー時代(2004年から2017年まで)のアーカイヴです。新規更新はしません。現在は新しいブログ http://kkt.hatenablog.jp/ をたまに更新

LoVendoЯ LIVE TOUR 2013 DecembeЯ

12月は私にとってはライブ観覧が多い月となりまして、4本目の観覧となったのが12月26日に恵比寿LIQUIDROOMで開催された『LoVendoЯ LIVE TOUR 2013 DecembeЯ』最終公演です。
今回のLoVendoЯのライブ、個人的に期待の大きいライブだったんですね。ツアー開始前にYouTubeギタリストふたりによるオリジナルインスト曲の動画が公開されたり、やはりYouTube配信の番組『UF LICKS』の中でメンバー自作の曲が演奏されると予告されたり、これはツアー開始後でしたけど雑誌『ARENA NEO Vol.2』に掲載されたツアー衣裳がいい感じだったり(特に宮澤さんが ※個人の感想です)、ツアー開始直後の『UF LICKS』で新曲のさわりがライブ映像で紹介されたりと、春、夏のライブとは違ったLoVendoЯが観られるのではないかとすごく楽しみでした。


実際にライブを観ての感想は、予想以上! 期待していたものが観られて、さらにプラスアルファという感じでした。
カバー曲が中心だった春ツアー、夏ツアーとは異なり、今回は私の曲数カウントが間違っていなければオリジナル曲が11曲、カバーアルバムからの曲が5曲、娘。時代の田中さんソロ曲『Rockの定義』と、演奏曲の比率は完全にカバーとオリジナルの比率が逆転。
そしてオリジナル曲が増えたというだけでなく、もっといろいろな面でこれまでと違うLoVendoЯを見せてくれた気がしています。
たとえば、初期から演奏されているオリジナル曲『人生マニアック』では、イントロが始まると田中さんが「突然ですけど、みなさんは何マニアですか?」と切り出し、もうひとりのボーカル・岡田さんが「まりなはぁ、釣りが好きな人かなぁ。だってお父さんが釣り好きの人にぃ」とどこかで聞いたことのあるセリフをブリブリな調子で話すのを田中さんが突き飛ばして「『人生マニアック』!」と曲に入るという小芝居がありまして、そういう遊び心を入れられる身軽さみたいなものを感じました。また、この小芝居が入ったことで『人生マニアック』という曲自体のイメージも少し違って感じられました。


私が今回のライブで一番印象に残ったのは、ライブ中盤ころだったと思いますが、ギターふたりのインスト曲(まだタイトルないみたいです)に続いて『Real』『Sweet Tweet』と新曲を続けて演奏した部分でした。この新曲2曲は、歌詞の内容が若い世代の心情を歌ったもので、LoVendoЯの曲の中でも特にシリアスな(あくまで聴いての印象ですが)曲だと思います。LoVendoЯって、どんなタイプの曲をやってもどこかに楽しげな雰囲気があったと思うのですけど、この曲はこれまでのLoVendoЯ曲とはまったく違う空気を放って、会場の雰囲気を塗り替えているようでした。もちろんいままでのような楽しさもあって、その一方でシリアスな鋭さも見せる、そんな幅の広さをLoVendoЯが獲得したように思えました。

今回のライブでは、往年の名曲カバーは会場の一体感を高めるチューンとして使われているのと、バンドとしていろいろ試みるために演奏されているのかなと思いました。『国旗はためく下に』はえげつなく歪んだベースのリフにギターふたりが同じリフを重ねていくイントロとなっており、よりヘビーさを増していましたし、ある種LoVendoЯに欠かせないナンバーとなっている『雨上がりの夜空に』も、これまではピアノのバッキングを音源で流しての演奏でしたが今回はピアノの音がなし。おそらくステージ上の6人だけでの演奏になっていたと思います。


そうやっていろいろ新しい面を見せてくれたLoVendoЯですが、これはやはり春、夏のツアーがあってここに至れたのかなと思った部分があります。今回のツアーで初披露された新曲の中には『880円』『Oh my friends!』と、アコースティックギターが使われた曲があります。もし、LoVendoЯが結成直後にこの曲をやったとしたら、アコギを使っていただろうかと思うんですね。春ツアー、夏ツアーでカバー曲で数曲アコギを使った曲があったという経験が、オリジナル曲にアコギを使うという方向につながっているんじゃないかと思うんです。そういう意味では、これまでカバー中心の活動で培ってきたものが開き始めたのが今回のツアーなのかもしれません。


冒頭でちょっと衣裳に触れましたけど、今回のツアーの衣装はメンバー4人バラバラで、前回までのいかにも「ロックバンド」的な衣裳に比べるとカジュアル寄りになったもの。私はこれがけっこう象徴的に思えるんですね。前は、ロックバンドをやるという前提のもと「LoVendoЯという枠組みに集まった4人」だった部分があったと思うのです。それが、結成から時間も経って活動も重ねて「この4人が集まってLoVendoЯ」という方向に進めだしているのではないかと思うのです。


LoVendoЯ、すごく魅力的ですよ。来年どんな活動を見せてくれるかも期待です。