鉄よりつよいもの。(旧)

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『我らジャンヌ〜少女聖戦歌劇〜』

Berryz工房スマイレージの出演で東京では9月6日より16日まで上演されたミュージカル『我らジャンヌ〜少女聖戦歌劇〜』。去年モーニング娘。出演で上演された『ステーシーズ』と同じ作・演出家の方による作品であることや、開幕してからの評判に興味を惹かれつつもなかなか観に行けなかったのですが、幸い東京公演最終日となる16日朝の公演を観ることができました。


感想を簡潔に書くと、衝撃の大きな作品でした。公演を観終えたあと、魂を抜かれたようにしばらくぼーっとしてしまったほどです。
私は昨年の『ステーシーズ』を観たとき、作品の中で描かれる「赦す存在としての少女」が、グサッと胸に刺さるような感覚を覚えました。
今回の『我らジャンヌ』では、やはり「赦す存在としての少女」が、『ステーシーズ』以上に明確なかたちで描かれていました。その衝撃は大きかったです。


私は『我らジャンヌ』は再生譚であると感じました。少女たちが再生するのではなく、死んだように生きている人々、別の表現をすればある時点で時を留めてしまった人々。その人たちの時間をもう一度動かし、現在に生かす「再生」。そのための闘いが“少女聖戦”であると私は思っています。


ひとりの少女が、処刑されたジャンヌ・ダルクを名乗って、ジャンヌとして人々を動かしていく。この内容の作品が、Berryz工房スマイレージというアイドルグループのメンバーによって上演された意味は大きいと思います。
偽りの偶像であったはずの存在も、本当に人々の心を動かす力を持つことができる。誰かを赦し、誰かを救うことができる。
15世紀フランスを舞台に描かれたこの物語は、同時に現代日本の「アイドル」を描いていたのではないか。劇中で、時代設定から考えれば明らかに不似合いな「プロデュース」という言葉が使われていたのも、それを示しているように思えました。
「少女聖戦」とは、まさにいまアイドルとして日々活動している彼女たちに捧げられた言葉のようにも感じています。