鉄よりつよいもの。(旧)

KKTのブログ『鉄よりつよいもの。』のはてなダイアリー時代(2004年から2017年まで)のアーカイヴです。新規更新はしません。現在は新しいブログ http://kkt.hatenablog.jp/ をたまに更新

『心に訊く音楽、心に効く音楽』

ミュージシャン・高橋幸宏氏の著書『心に訊く音楽、心に効く音楽』が8月に刊行されています。幸宏氏が聴いてきた幅広いジャンルの音楽を語った1冊です。自作への影響を語った部分も多いのですが、そのときもすべてを説明するのではなく、読者が探求する余地を残した語り方になっているために「ああ、この音楽を聴いてみたい」という気持ちがつよく刺激されます。まさに、音楽の世界を広げる優れたガイドブックです。
おそらく幸宏氏の語りをベースに構成されたと思われる優しい文章なのですが、ところどころにハッとさせられる文章が出てきます。私がもっともハッとさせられたのはこの文章。コンピュータを用いたYMOの音楽が「無機質」と呼ばれたことについて語った部分です。

「例えば、最近だと、春になるとお決まりのように、いわゆる狙いを定めて桜を題材にした歌、卒業を題材にした曲が発売されます。そういうものに、ぼくは、エモーショナルなものを一切感じない。つまり、そういう音楽こそ、無機質だということです。」
(『心に訊く音楽、心に効く音楽』108ページ)

世の中にたくさんある音楽の中で、自分が魅力を感じるもの、そうでないものの違いはいったいどこにあるのだろうか? そのひとつのヒントをこの文章にもらった気がしています。