『More Friends Over』

真野恵里菜さんのファーストアルバム『FRIENDS』は、淡い水彩で描かれた絵のような印象がありました。セカンドアルバム『MORE FRIENDS』はそこから鮮やかさを増して、リアリティを増した女の子像が描かれていた印象。
そして先日リリースされた『More Friends Over』を聴いて、真野さんの歌の世界が絵から写真へと移り変わったような感覚を覚えました。よりアグレッシブな真野さんが、実像としての女の子を歌っている印象を受けています。
アルバムオリジナル曲については、定番のフレーズや懐かしさを覚えるような曲調も多く「ノスタルジィ」がひとつのコンセプトとなっているのかな？　と思うところがあります。

真野さんが尊敬する伊能忠敬を歌った『風の薔薇』は、ひとつの曲の中でトイピアノの音とピアノの音が使われているのが、子供のころの憧れと現在の想いを象徴しているようにも感じられます。
そしてラスト曲である『天気予報があたったら』の開放感が素晴らしいです。曲がディスクの外へと広がりを持って終わっていく感覚。そのあとの、アルバムならではの仕掛けもくすぐったいところです。