『冬空花火』

吉川友さんのシングル初回盤Ｃのカップリング曲は『冬空花火』。ブレスもはっきり聴こえる吉川さんのボーカルが情感を感じさせる１曲です。
初回盤Ａ、Ｂそれぞれのカップリング曲である『さよなら涙』『Candy Pop』で歌詞の“色”が効果的に使われていることは以前書きましたが、この『冬空花火』で印象に残るのは“音”です。
「鈴の音が響く夜に会いたい」「写真がシャッターの音　響かせたこの夜に」と“音”が印象的に使われているゆえに、「冬空花火が夜空にうかぶ」という“音”の描写がないサビのフレーズは、音と光が一体であるはずの花火が音もなく広がっていく寂寥感のある光景をイメージさせます。そしてそれは、そこにいるはずの「キミ」がいない虚ろさと重なっていきます。
「キミ」のいない理由は明確に歌われてはいませんが、曲の締めくくりに切なく繰り返される「鈴の音色だけは今日も奇麗」というフレーズは、その背景に広がりを感じさせます。

きっかけはYOU!(初回限定盤C)

『さよなら涙』『Candy Pop』『冬空花火』と、シングルカップリング３曲はいずれもイメージの異なる曲で、それぞれの曲を聴いている最中には「吉川さんの魅力が一番出ているのはこの曲かな」と思うのですが、別の曲を聴いてみると「やはりこっちの曲のほうが」と思ってしまうくらい、どの曲も異なる魅力を持っています。
タイトル曲である『きっかけはYOU!』を含めて４曲いずれも、吉川さんの持っている多彩な表情を引き出した、デビューシングルにふさわしい曲になっていると思います。
そんなわけでまだ聴いていない方は４曲ぜひ聴きましょう。