穏やかな風

これまたリリースからずいぶん経ってしまっているのですが。

雨上がりの虹のように

久々となる安倍さんのシングル曲は岡村孝子さんの提供曲。決して軽くはない歌詞の内容ですが、安倍さんはそれを重くなりすぎることなく、優しく昇華させているという印象です。サウンドも、ギターやストリングスの生っぽい音を中心にしつつ、ずっと鳴っているパッド系の音色が曲に一層のソフトさを与えていると思います。そしてエンディングで優しさや温かさに加え、力強さをしっかりと感じさせているのも気持ちのよいところです。

元気者で行こう!(初回生産限定盤B)

真野さんのシングルは新境地を開くものだと思います。これまでは「私」と「あなた／キミ」のようなパーソナルな想いを歌った曲が多かった中、今回の曲は広く“世間”に元気を届けるという、ある種のメッセージソング。Ａメロ冒頭はインストで聴くと薄すぎかなと思うくらい音数が少ないのですが、歌が乗ったときに物足りなさを感じさせない真野さんの歌声は存在感を増したなあと思います。２コーラス目ラストの「嵐になれ」の歌い回しも、やるじゃん真野さんといった感じで。
カップリング曲『家へ帰ろう』は、自分の内面を旅するような歌詞はやはりこれまでになかったもので、その歌詞の世界がメロトロン風の音色のフェイドインで幕を開ける浮遊感を持ったサウンドにマッチしています。２コーラス目の英語詞の「I still remember. Makes me feel better」「Could be together. That'll last forever」の押韻の気持ちよさも格別です。

９月15日の同日リリースとなった、元ハロプロと現ハロプロのソロ女性シンガーふたりのシングル。安倍さんの『雨上がりの虹のように』では「そよぐ風が　ほほをなでて通り過ぎてく」、真野さんの『家へ帰ろう』では「Feel the gentle breeze」と、ふたりとも穏やかな風に包まれているのは面白い偶然だと思っています。