三期三様

娘。さんの春ツアー開幕３連戦となる東京厚生年金会館公演も無事終了したようですが、私の鑑賞予定はまだ先なので今回もまたアルバムの話です。

10 MY ME

アルバム初の試みとなる期ごとの分割曲は『10 ＭＹ ME』の聴きどころのひとつだと思います。

６期３人による『大きな瞳』は、アップテンポの曲にのった３人のボーカルがパワフルでキュートで、そしてカッコいい！　終盤での亀井さんのフェイクは鳥肌ものですよ。
この曲はアルバム全曲をとおした中でも一番アイドルポップスを意識して作られた曲ではないかと思っています。道重さんのパートで歌声が派手に加工されているのも、ここ数年アイドルポップスの代名詞的になっているサウンドを意識した趣向ではないかと思いました。そのパート、特に１番では「かなり　駆け足　階段登った」と歌詞が「か」で頭韻され、エフェクトと相まって耳に引っかかる感じを生んでいるのも心地よいところです。

５期ふたりが歌う『あの日に戻りたい』は、３曲の中で一番大人っぽさを感じさせるナンバー。
以前のツアーで高橋さん新垣さんが『ふるさと』を公演ごとに交代で歌っていたときに、このふたりは同じ曲を歌っても違う物語を感じさせてくれると思ったものでした。
それは今回のようにひとつの曲をデュエットしたときにも同様で、ふたりはそれぞれのパートで違った背景を感じさせてくれているように私には思えるのです。この曲において、新垣さんの歌う「私」がいるのは後悔の中。そして高橋さんの歌う「私」がいるのは感傷の中。
間奏明けの高橋さんのパートの柔らかな声の表情にはドキリとさせられました。

８期による『大阪　美味しいねん』は、『大阪ストラット』を経由しての『福生ストラット』からのナイアガラの系譜を継ぐ……というのはさすがに言い過ぎでしょうか(笑)。人によって捉え方は違うと思いますが、個人的には猥雑さを感じさせつつも下品にならないレベルにとどめている感覚が絶妙だなと思っています。コミカルな曲調ながら、リンリンの貫禄すら感じさせるボーカルが一番堪能できる曲になっているのではないでしょうか。それから光井さんのノリツッコミのタイミングのよさには毎回笑わされてしまいます(笑)。

正直、８期はもっとストレートにポップな曲でもよかったかなと思うところもあるのですが、３曲とも「この期らしいな」と思うよりも、「これができるのはこの期だよな」って思わせられる曲でした。
ありていな締めになりますが、コンサートの際にどんなパフォーマンスで聴かせてくれるのか、いまはすごく楽しみです。