鉄よりつよいもの。(旧)

KKTのブログ『鉄よりつよいもの。』のはてなダイアリー時代(2004年から2017年まで)のアーカイヴです。新規更新はしません。現在は新しいブログ http://kkt.hatenablog.jp/ をたまに更新

綺羅凛冬

「きらりと冬」

「きらりと冬」

裏ジャケの曲タイトル一覧を見て、全12曲のタイトル中に平仮名と漢字がひとつずつだけというアルバムもなかなか珍しいのではないかと思った月島きらりのサードアルバム。
聴いてまず思ったのは、きらり、というか久住さんの歌の変化でした。ファーストアルバムのころの久住さんは、すごく素直な歌い方、悪い言い方をすればまだ未熟な歌い方だったと思っています*1。その後、シングル『チャンス!』のころから歌い方がはっきりと変わってきて、アニメできらりの声を演じているのに近いようなトーンで歌うようになってきています。それにより歌の表情は多彩になりましたが、個人的には作った感じが濃すぎるようにも感じていました。
今回のアルバムでも、基本的には『チャンス!』以降の歌い方なんですけど、よりナチュラルさを感じさせる歌い方が見られるようになってきています。これまであまり聴いたことのないような太い声が聴けるところもあって、月島きらりとしてだけではなく久住小春としての歌い方の多彩さが出てきたように感じます。
もしアルバム全部が聴けないという方は、1曲目の『コイサイン』や6曲目『マスカラフル』だけでも聴いてもらえれば、久住さんの歌の変化を感じられるのではないかと思います。


楽曲面では、恋愛を題材にした曲のほとんどが積極的にアプローチしていく女の子視点なのはまた別の意味での成長を感じさせるところかなと。『コイサイン』の「誰かが話す時も 膝はあなたに向けてるの」ってなかなか出てこないフレーズじゃないかなあ。ラテン調の『マスカラフル』や、歌詞だけを見た段階ではセカンドアルバムの『幸せクローバー』路線の曲かと思ったら軽快なナンバーだった『夢のバルーン』(唯一の漢字・平仮名がタイトルに含まれる曲)など、よい意味で予想を裏切っていく曲が多かったです。
アルバムを1回通して聴いた今の段階では、ヴィヴァルディの『四季』をメロディとアレンジに取り入れた(ちゃんと作曲者としてクレジットあり)『ラブチク』が一番気に入っています。


個人的にはタイトルに“冬”とあるのにあまり楽曲には季節感を感じないところがちょっと不満ではあるのですが、久住さんの持ついろいろな可能性を感じさせてくれるアルバムに仕上がっています。いいですよ、これ。

*1:ただその未熟さは決して欠点ではなく、楽曲の世界とあわさってファーストアルバムを作為では作れない傑作に仕上げていました