ピリッと効いてる

正直に言うと、娘。の『ペッパー警部』のカバーは、楽曲としてはあまり期待してはいませんでした。Dohhh UP!で配信がはじまったので、まあ一応聴いておくかみたいな気持ちで聴いてみたのですが……１回聴き終えると、なにかさらりと聴き流せない感じが残りました。うむ、これは？　と思いつつ、少し神経を集中してもう１度聴いてみると、うわ、これはアレンジの技が効いているなあと思いました。
イントロが付け加えられているものの、最初のサビはかなり原曲に忠実なアレンジです。ベースラインもほぼそのままだし、楽器の音色も原曲を意識した感じです。ところが、サビ終わりでガラリとサウンドが変わっています。リズムは打ち込みのリズムになり、アコースティックギターがザクザクとしたカッティングを刻み、ベースもシンセベースに。派手なシンセの音も加わってきます。要は全体的に今っぽいアレンジになっているんですけど、これがブレイクを挟んだりするのではなく、スッと変わっているのがすごいところ。
最初から今風のアレンジだと違和感があるかもしれないし、かといってオリジナルに忠実だと古臭くなってしまう。最初にオリジナルに近いかたちで引き込んでおいて、リスナーが曲に入り込んだところでさり気なく“モーニング娘。の『ペッパー警部』”に切り替えるという、実に技巧の凝らされたアレンジだと思います。
この、アレンジの切り替わりはビデオクリップの映像とも連動していて、最初はブラウン管の走査線のようなエフェクトがかかっているのが、アレンジの切り替わりにあわせて切り替わっていますね。
パート割も面白かったです。Ａメロでふたりがペアになり、片方を残して順に入れ替わっていくというのは、新鮮な感じを覚えました。
いや、思いのほか好みな仕上がり。『ペッパー警部』がこのできだと、カバーアルバムのほかの曲も期待できるかも。俄然楽しみになってきました。