鉄よりつよいもの。(旧)

KKTのブログ『鉄よりつよいもの。』のはてなダイアリー時代(2004年から2017年まで)のアーカイヴです。新規更新はしません。現在は新しいブログ http://kkt.hatenablog.jp/ をたまに更新

名言?

「心血注いでも駄作は駄作。鼻歌混じりで描いても傑作は傑作」というのが30日オンエアの『ベリキュー!』オープニングで藤子・F・不二雄先生の名言として取り上げられたわけですが、この番組のスタッフって原典にあたってないな、こりゃ。
この言葉は『エスパー魔美』の1エピソードの中で、登場人物*1のセリフとして出てくる言葉です。さすがにいま手元にコミックスがないんでチェックできないんですけど、たしか作中だと語順や表現が若干異なっているはずです。たぶん、番組で使ったのはネットに書かれて流布してるものから引っ張ってきたんじゃないかなあ。
そもそも劇中人物のセリフなんだから、それを藤子先生の言葉として紹介するのはおかしいんじゃないかと。これまでもフィクションの登場人物のセリフを紹介したこともあったけど、そのときは“ラオウ”だったり“永沢くん”だったりと架空の人物の言葉として紹介しているのだから、統一が取れてないですよね。*2
たとえ劇中人物のセリフであっても、それが作者の思想をダイレクトに反映されたものならば、作者の言葉として紹介しても良いのかも知れませんが、この言葉は作中で憎まれ役となるキャラクターの語る、ある種の極論であったはず。それをあたかも作者の主張そのものであるように紹介するのはまずいでしょ。たとえば「お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの」ってのも藤子・F先生の作品の中のセリフですけど、これを藤子先生の言葉として紹介したら、明らかにおかしいと大抵の人なら思いますわな。
すでに藤子・F先生自身は鬼籍に入られていらっしゃいますが、仮に関係者の方々が抗議したら充分に問題になり得るレベルの話だと思いますよ。


今回のケースは別としても、このオープニング名言って最近のフィクション作品からも多く引っ張ってきているんで、これって著作権的にどうなんだろう? と疑問を持つこともたまにあります。
いずれこの番組もソフト化されるのだと思いますが、そのときには「諸般の事情」でオープニングがバサッと切られているかも知れませんから、真野さんファンの方はオンエア分をしっかり録画保存しておいたほうがよいと思います(笑)。

*1:ゲストキャラの評論家先生のはず

*2:『星の王子様』の作中の言葉を作者であるサン・テグジュペリの言葉として紹介したことはありましたけど