鉄よりつよいもの。(旧)

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久々観劇

保田さん、アヤカ出演の劇団大人の麦茶第十二杯目公演『ちがいますシスターズ』を観てきました。舞台に限らず、普段あんまり初日公演を観ることはないのですが、今回はなにせ水曜から日曜までの短期公演。週末は無理なのが確定のため早めに観にいったのです。
私にとっては昨年の保田さん出演『ネムレナイト』、アヤカ出演『コトブキ珈琲』に続いて3杯目となるオトムギ。会場の紀伊国屋ホールって、小劇場系の劇団にとっては特別な意味のある劇場なんですよね? そういう記念となる公演に保田さん参加ってのは嬉しいことです。


以下、劇の内容に触れます。
いつもなら「続きを読む」の前には空白改行を入れるところなのですが、せっかくなので紀伊国屋ホールに関する個人的な思い出などを。
私が学生のとき、ある日紀伊国屋の階段を上っていると、ホールのある4階の手前のところで観劇に来たらしいオカマタレントさんをお見かけしました。
しかし、それが映画評論家の方だったのか服飾評論家の方だったのか、いまだにわかりません。






と、どうでもいい青春の1ページを振り返ったところで今回の劇の内容について。


舞台となるのは東京の下町にあるもんじゃ焼き屋「コハル」。保田さんが演じるのは、以前はこの店で働き、今は俳優の妻となっている小春。今は小春の妹夫婦(実は未婚)が切り盛りし、古くからの常連客で賑わうこの店で、あるきっかけから起こる事件を描いた群像劇です。
これまで私が観た2本のオトムギの劇と比べると、ある点で大きな違いを感じました。過去の2本は、基本的には「いい人たちのいいお話」でした。今回の『ちがいますシスターズ』の登場人物は、小春を含めて、どこかずるい部分や、歪んだ部分が覗きます。ラストも、ハッピーエンドではあるのですが、以前の作品のような爽快なものではなく、どこか引っ掛かりが残る感じ。
しかし、その引っ掛かりこそが、この劇が目指したものではないかと思います。すべてがうまくいく幸せなんて、滅多にありはしない。でも、たとえ嘘や矛盾を抱え込んでいたとしても、それはひとつの幸せのかたちとしてありなんじゃないの? 不完全な幸せでも、まず肯定しようよ、もっと幸せが増えていくように――。
単にいいお話で終わらせるのではなく、観たあとに考えさせられるものを、今回の劇は意図していたように思います。
ただ、個々の登場人物の役割がいまひとつ整理されていなかった感があったのは残念でした。また、姉が“小春”で妹が“ジュンコ”と名前が全然違うところや、小春の妹への接し方が伏線となっているのかと思ってたら、そんなことは全然なかったんでちょっと肩透かしみたいな感じを受けてしまいました。


保田さんに注目して観ると、主要な登場人物ですから出番はすんごく多いです。いろいろ見所は多いので保田さんファンならばご覧になって絶対に損はしないはずです。オトムギでの保田さんは、既婚、子守歌、そして喘ぎが付き物なのね(笑)。
小春って名前は偶然だろうと思っていたのですが「月島のもんじゃ焼き屋じゃなくてこの“コハル”が」みたいなセリフもあったので、もしかしたら狙っている部分もあったのかもです。