鉄よりつよいもの。(旧)

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武道館雑感・4

吉澤さんの歌う物語

春におこなわれたツアーで公演ごとに高橋さん、新垣さんがソロで歌った『ふるさと』。私が実際の公演で観たのは高橋さんの『ふるさと』だけだったのですが、後にリリースされたDVDの特典映像として収録された新垣さんの『ふるさと』を観て、同じ曲でも、ふたりの『ふるさと』はそれぞれ違うなあと感じました。
もちろん、『ふるさと』の根幹である「都会で失恋した女の子から母親への歌」という点は変わらないのですが、歌の主人公がどんな女性で、どんな恋愛をしたのかという、歌から想起される物語が、ふたりの歌では確実に違っていました。
ソロという、歌う人の持つキャラクターが強く曲に反映するスタイルだけに、同じメロディ、同じ歌詞でも、歌い手によって曲は変わるのだということを改めて認識させられました。
その観点から、今回の秋ツアーのセットリストで興味深い曲がありました。




吉澤さんの歌う『男友達』です。
モーニング娘。名義でありながら、安倍さんのソロに近いこの曲。当然ながら安倍さんとはまったくキャラクターの違う吉澤さんが、この曲からどんな物語を感じさせてくれるのか、とても楽しみでした。
安倍さんと5期が歌ったこの曲を、吉澤さんと、5期ではなく6期と7期の年少組4人が歌う。『恋の始発列車』『バイセコー大成功!』『ラストキッス』に続いて配されていることから考えても、前の3曲と同様、この曲がかつてのモーニング娘。の歴史の肯定と継承という意味を持っていたのは間違いないと思います。そしてその意味は充分に果たしたパフォーマンスでありました。
しかし。
吉澤さんなりの『男友達』の物語を、私は感じることはできませんでした。まるで安倍さんの『男友達』が正解としてあって、それを目指しているような、どこか居心地の悪さを感じたのです。
そうじゃなくていいじゃん。
それは確かに正解かも知れないけれど、決して唯一の解ではないはずです。吉澤さんなりの『男友達』が歌えたら、それもまた正解なはずだから。


ただ、この曲を終わったときに同時に新たな期待もまた私の中には沸いてきました。きっと吉澤さんはこれから自分なりの物語を歌える人になると思います。そして、またいつか『男友達』を歌って欲しい。その『男友達』を、ぜひ聴いてみたいと、今、私は思うのです。